元バンカー&現役デイトレーダーによる不定期更新。主に修論の副産物を投げつけていきます。

by すーさん

秦従竜

『明史』巻一百三十五、列伝第二十三

 秦従竜、字を元之、洛陽県の人。元朝に仕官し、江南行御史台侍御史の職務に就いた。戦乱を避けて鎮江路へ移り住んだ。徐達が鎮江路を攻撃した際に、太祖(朱元璋)が言ったことがある。「秦元之という者が居て、才知と器量は熟達していると聞くが、汝は是非とも訪問せよ、我が下に来させて意見を求めたいのだ。」徐達は鎮江路を陥落させると、これを訪ねることが出来た。太祖は甥の朱文正・李文忠に命じて黄金や綺絹を贈り庵を作って招聘した。秦従竜は妻の陳氏を伴って現れたので、太祖自ら竜江に出迎えた。
 当時、太祖は富豪の邸宅に住んでいたので、秦従竜を同処に招いて、一日中その時々の出来事を尋ねた。既に元朝の江南行御史台を応天府に改めていたので、秦従竜を西華門の外側に住まわせ、事の大小を問わずこれと一緒に謀を巡らせた。嘗て漆の札に書き記して頻繁に問答していたので、左右の者は内容を知ることが出来なかった。秦従竜の誕生日には、太祖は世子(朱標)と共に手厚く物品を贈り、ある時には自らその家に出向いて酒宴を催すこともあった。至正二十五年の冬、秦従竜の子の秦沢が没すると、帰郷を申し出た。太祖は郊外まで見送り握手を交わして別れた。その後に病没した時、七十歳であったが、太祖は驚き悼んだ。この時軍を率いて鎮江府に差し掛かった所であったので、自ら霊前に臨んで涙を流し、その家族を厚遇し、官吏に命じて葬儀を営ませた。
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by su_shan | 2016-08-18 20:41 | 『明史』列伝第二十三