元バンカー&現役デイトレーダーによる不定期更新。主に修論の副産物を投げつけていきます。

by すーさん

列伝第二十 目次

朱亮祖 周徳興 王弼 藍玉 曹震 張翼 張温 陳桓 朱寿 曹興


謝成 李新

 論賛、天下を治めるに無法を以て臨むべきでは無いが、創成の時期に於いて法は疎かであり、太平の世に於いて法が整えられる事は、元より時勢の必然である。論者は何時も鳥が居なくなれば弓が片付けられる有様を嘆息し、名君に発露した猜疑だと言うが、殊に政治の本質に迫る論説では無い。そもそも天下が平定された以上、その権勢は盤石と化し、万里の彼方へ号令し、統治を安定させる為に奔走するものであるのに、猜疑を理由にこれを取り除き、余力を残さないという事があろうか。また甲冑の士の凶悪頑強を以て、その鋭鋒に乗じ、戦場に於いて僅かばかりの功績を挙げた者は、身に富貴を纏い、志に満ち気に溢れはするが、中枢に近付ければ驕り高ぶって危機を招き、遠ざければ怨恨を抱いて法を犯す。主君たる者は法を廃し曲げてまで彼らを全うさせる事は出来ず、止むを得ず処置するのであって、決して私利の為に彼らを排除する訳では無い。朱亮祖以下の幾人かは保身の明哲さに欠け、又は節制謹慎の道を違えた為に、首を並べて晒し者にされたが、それは自らが招いた結末なのである。


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by su_shan | 2017-03-20 15:31 | 『明史』列伝第二十